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リンパマッサージのメカニズム



リンパマッサージの効果を得るためには、リンパマッサージのメカニズムを正しく理解しておいてください。

リンパマッサージの理論はそれほど難しくありませんし、理論を理解しておくことで効果も上がりやすくなり、テクニックも理解しやすくなります。
ぜひ、理論を理解してからリンパマッサージを行ってください。

また、これは上級者を目指すためにも重要な情報です。



リンパとは

リンパとは、全身を網の目のように張り巡らされている「リンパ管」。
その管の中の流れている「リンパ液」。 
 ※リンパ液は血液の成分から赤血球を引いたもので、ほとんど血液を変わりません。
鎖骨やわきの下などにある「リンパ節(リンパ管の中継点)」。

これらを総称したものをリンパといいます。(リンパ系とも呼ばれます。)

心臓から勢い良く送り出された血液栄養酸素を運ぶのに対して、リンパは体内で不要になった
老廃物疲労物質を回収して運ぶ「下水道」のような役割を果たしています。

リンパの役割
 リンパには、大きく分けて「排泄機能」「免疫機能」の2つの役割があります。
 リンパの流れが滞ると、余分な水分や老廃物、毒素が体内に蓄積されて免疫機能や栄養素の
 取り込みまで正しく行われなくなり、むくみやたるみ、体調不良など、様々な障害が現れます。

→ リンパ系とその働き  (gooヘルスケア 参照)

リンパマッサージの理論

私達の体内にある水分は、心臓を起点として出て行き、全身を巡って心臓に帰ってきます。

「行き」は、動脈を流れる血液として心臓から勢いよく押し出され、全身の細胞に栄養酸素
運びます。
一方、「帰り・戻り」では、各細胞から余分なもの(老廃物)を回収し、心臓に戻っていきます。

老廃物を回収する働きをするのはおもに静脈ですが、そこに入りきらなかった老廃物は、
リンパ管」を通って心臓に向かいます。
 ※リンパ管に入っている水分をリンパ液といいます。

   体液循環のメカニズム

リンパ管は、動脈(心臓のポンプ)と違ってポンプの役割をするものがないので、中の液体もとても
ゆっくり流れています。(1秒で0.5cm以下・分速24センチメートル!)

しかも、毛細血管のように非常に細い管であるため、周りの筋肉が動くことでやっと中のリンパ液
押し出される程度です。
運動不足で筋肉への刺激が少なかったり、乱れた食生活やストレスで老廃物がたまると、すぐにに渋滞
してしまい容量オーバーになり、むくみ肥満セルライトなどの原因になります

また、リンパ管は押し出す力が弱いので重力の影響を受けやすく、足や指先など心臓から遠くて、
下に位置する部分にリンパ液がたまりやすくなります。
 ※立ち仕事や座りっぱなしで動かないと足がむくみやすいのはこのためです。

リンパ管は皮膚組織に多く分布しているため、皮膚組織にかるく刺激を与えることでリンパ循環を促進
させることが可能で、これを積極的におこなうのが「リンパマッサージ」の手法なのです。

リンパマッサージを行うことで、自分の力ではうごけないリンパの流れを促進したり、必要以上にたまった
老廃物毒素、皮膚や内臓のゴミを早く心臓の近くまで戻すことを促進できるのです。


リンパの流れには、筋肉の動きも大切!

リンパは周りの筋肉のポンプ作用によって流れます。

なんらかの運動によって筋肉が縮まるとリンパも圧迫を受けて縮まり、筋肉が伸ばされるとリンパは広がります。

この筋肉の伸び縮みでリンパは流れるというわけです。

ということは、筋肉を動かせばリンパの流れがよくなり、むくみやタルミの原因になる余計な水分や老廃物もスッキリと流してしまうことができるということです。

ちょっと気が付いた時に、足首をくりくり動かしたり、軽く歩き回ったり、ピョンピョン飛び跳ねてみたり・・・

軽い運動でも良いので、たまに筋肉を刺激することでリンパは流れるのです。

リンパマッサージの重要ワード

リンパマッサージで覚えておきたい言葉の定義は次の4つです。

 【 リンパ 】
 全身を網の目のように張り巡らされている「リンパ管」とその中を流れる「リンパ液」、鎖骨や脇の下、
 ソケイ部などにある「リンパ節」を総称したものです。

 【 リンパ液 】
 リンパ液とは細胞間液のことで、毛細血管からしみ出した血漿(けっしょう)がリンパ管に入り込んだもの。
 主な働きは、古い細胞や血液のかけらなどの老廃物や脂肪を運び、やがて血液と合流し尿として体外へ
 排出することです。

 【 リンパ管 】
 リンパ液の通る管で体内にある排水管ともいうことができる。
 リンパ管の70%は皮膚組織を通っており、静脈と平行して体のいたるところに張り巡らされています。

 【 リンパ節 】
 リンパ液の中継基地。全身で600から800箇所あるといわれている。
 微生物や老廃物のろ過をするほか、抗体を産出する場所でもあり、免疫機能で重要な役割を担って
 います。

 【 リンパ球 】
 リンパ球は、白血球の一種で「NK細胞」「T細胞」「B細胞」に分けられ、免疫反応に直接的に働く。
 胸腺、骨髄、脾臓、リンパ節、扁桃などのリンパ組織に豊富に分布。


リンパ節の働き

リンパ節には、次のような働きがあります。

 1. リンパ液の濾過する
 リンパ管の中を流れてくるリンパ液に細菌などの微生物や異物が混ざっていると、リンパ節で濾過して
 捕らえます。

 2. 抗体を生産する
 リンパ節で捕らえた細菌が出す毒素を中和するための抗体を作ります。抗体は毒を中和するだけでなく、
 免疫にも関わる物質です。

 3. リンパ球を成熟させる
 骨髄で作られたリンパ球は、リンパ節の中で成熟してから全身へ送り出されます。


主なリンパ節の説明

リンパマッサージ行ううえで重要な身体のリンパ節の説明

 【 鎖骨リンパ節 】・・・体内を流れたリンパが最後に心臓に流れ込む場所。別名=「身体のゴミ捨て場」

 【 腋窩リンパ節 】・・・ノドや肺に近いので外部からウィルスなどが体内に入った時に、真っ先に免疫
              機能が働き、腫れやすい場所。
              このリンパが滞ると、四十肩、五十肩になりやすいとも・・・



 【 顎下リンパ節 】・・・顔から首へ流れるリンパがここを通るので、流れが悪くなると二重アゴや顔の
             たるみが起こりやすくなる。

 【 腹部リンパ節 】・・・ここが滞ると腰まわりがぽってり太くなるうえ、子宮や腸の働きが鈍り便秘や生理
             不順、子宮・卵巣の病気などを引き起こす。

 【 鼠径リンパ節 】・・・下半身のリンパ液が流れ込む一大ステーション。
               ここが滞ると下半身が太くなり、浮腫んだり冷えたり、ヒップもたるむ。
               セルライトの原因にもつながる。

 【 膝窩リンパ節 】 ・・・ここが滞ると足首がブヨブヨとしメリハリがなくなる。
             リンパ液の詰まりがひどいと血管やリンパが腫れて静脈瘤になる。

リンパマッサージで一番大切なリンパ節

リンパマッサージで一番大切なリンパ節は鎖骨リンパ節です。

特に、左側の鎖骨リンパ節は、全身を流れるリンパ液のほとんどがここで「鎖骨下静脈」と合流して
心臓に戻るので、体内のリンパ節のうちでもっとも重要なポイントです。



体中の老廃物がここに集められるということは、
とても詰まりやすいということです。

いくら他のリンパ節を意識してリンパマッサージを行っても、
この鎖骨リンパをキレイにしておかないと、リンパ液はスムーズに流れません。


なにをおいても、最初に流れをスムーズにしておかなければならない場所が、
鎖骨リンパ節」です。

左鎖骨のリンパ節は、全身のほとんどのリンパ節の終着駅となっていて、もっとも大量のリンパ液が流れ込むところでもあります。

鎖骨リンパ節へのマッサージ

鎖骨リンパ節を、やさしく、3秒くらいかけて押してください。そのあと、同じく3秒くらいかけて離してください。
これを、数回繰り返します。


左鎖骨リンパ節のカバーする範囲はとても広く、図のピンクの部分は、左鎖骨の下リンパ節に合流します。

お腹から下半身もすべてカバーしているので、足のむくみやウエストへのリンパマッサージでも、左鎖骨のリンパ節をほぐしておくことは、とても大切です。

左鎖骨



大切なリンパ その2「ソケイ部リンパ節」

足の付け根にある「ソケイ部リンパ節」

ここは、下半身のリンパの最大の通過点です。

下半身へのリンパマッサージでは、「まずここ!」というべきところです。

ソケイ部には4本の指を差し込むように当てて、そのまま引き上げるイメージでリンパを流したり、お腹の奥に軽く差し込むようにマッサージします。

夜、寝る前には、ぜひ、ソケイ部リンパ節を優しくマッサージしてみてください。
一日の脚の疲れもきっと楽になると思いますよ。

リンパの分水嶺(watersheds)

リンパ節は、そのカバーするエリアが体の中央や上下など、下記の矢印のような線で分けることが
できます。
通常、リンパ液は分水嶺を越えることなく流れ、しかるべきリンパ節に入ります。

これを「リンパの分水嶺」と呼び、リンパマッサージの上級者はこの分水嶺の線を意識して、どの
リンパ節に流すことが最適なのかを判断して、リンパマッサージの効果を高めています。

    リンパの分水線


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